東野圭吾さんの大人気シリーズ・ガリレオ。変人湯川先生が難事件を解決していく物語は、どれもハズレがない面白さです。
ここではそんなガリレオシリーズの一つ、「禁断の魔術」を紹介しています。
作品の基本的な書籍情報と、私が感じた見どころポイントを中心に紹介しています。
そして2022年9月に放送が決定しているドラマ版と原作との違いについても記しています。ぜひ読んでみてください。
※多少のネタバレが入っているのでご注意ください。
小説「禁断の魔術」はどんな作品?
- 作品名:禁断の魔術
- 作者:東野圭吾
- ジャンル:ミステリー
- 出版社:文藝春秋
「禁断の魔術」は、ガリレオシリーズの第8弾短編集「禁断の魔術 ガリレオ8」の中の短編「猛討つ」として登場しました。
そしてその後1つの長編小説として文集文庫から発売されています。
大きなストーリーとしてはほぼ同じですが、短編集では触れられていなかった部分にも長編版では触れられていたりするので、どちらかを読むならば長編版をお勧めします。
ガリレオシリーズ「禁断の魔術」見どころとなるのは?
見どころばかりとも言える“実におもしろい”ガリレオシリーズですが、「禁断の魔術」ならではの見どころをまとめました。
湯川先生の愛情
どう考えても自分の教え子が犯人だという状況において、湯川先生だけは犯人説を完全に否定します。
理由は「彼はそんな人間ではない」から。
なんとも湯川先生らしくない、そして人間らしい理由だと思いました。
いつも冷静で変人なんて呼ばれている湯川先生ですが、やはり心を持った人なんですよね。自分の弟子を信じる湯川先生の愛情に感動します。
この場面は湯川VS草薙の対立場面ともなります。きっとドラマ版でも迫力満点のシーンになるでしょう。
科学技術について
「科学技術は善にもなるし悪にもなる。どっちになるかは使う人次第」
そのことについて今一度深く考えさせられる作品でした。
今回出てくるレールガンは電磁気力により物体を加速させて打ち出す装置。決して武器ではありません。湯川先生が純粋に科学の力として教えたものですが、復讐という憎悪を持った人間が使えば殺人兵器ともなりうるということがわかりました。
かつての天才科学者・アインシュタインは、原子力のエネルギーがどれほど大きなものであるかを示しました。そしてそれが原子爆弾への開発につながったと言われています。アインシュタインは原子力をあらゆるエネルギーとして役立てることができると示しただけで、恐ろしい殺りく兵器として役立ててやろうとは思っていなかったでしょう。
科学技術とは使う人次第で“禁断の魔術”となってしまうのです。
私たちが手放せなくなった便利なインターネットも使い方によってはSNSでの人権被害や詐欺被害などを引き起こしています。旅先で思い出を残せる写真も悪い人が使えば盗撮などの使い方ができてしまいます。
生活を豊かにしてくれる素晴らしい科学の力。使用者である私たちは決して“悪”の使い方をしないようにしていかなければいけません。
アインシュタインはナチス政権に対する不安から原子爆開発の手紙に署名をしたそうです。
後にアインシュタインはこの署名を「大きな誤りだった」と後悔しています。
「禁断の魔術」ドラマ版と原作の違いはある?
㊗️#ガリレオ シリーズ
完全新作SPドラマ放送決定❗️天才物理学者・湯川学(#福山雅治)が
9年ぶりに戻ってきます!👏新人刑事・牧村(#新木優子)と湯川の親友で先輩刑事・草薙(#北村一輝)
超常現象vs物理学の痛快ミステリに加え
今まで見たことのない湯川学の苦悩も! pic.twitter.com/NVMNe63ozg— 【公式】ガリレオSPドラマ『禁断の魔術』 (@galileo_kindan) July 19, 2022
2022年9月にスペシャルドラマとして放送が決まっている「禁断の魔術」ですが、違ってくるのは内海薫のポジションが新木優子さん演じる牧村朋佳という刑事に変わっているということぐらいでしょう。
内海薫は柴咲コウさんがいつも演じてくれていますが、SPドラマではキャストに名前はありません。今回は何らかの理由で内海薫ではなく、初登場となる牧村が草薙とペアを組んで捜査するという設定になるのでしょう。
牧村は原作にも登場していないキャラクターです。どのような人物となるのか、新木さんの演技に注目ですね。
↓SPドラマの放送やキャストについては別記事でまとめているのでそちらも合わせてご覧ください。
時系列としては「禁断の魔術」の次が「沈黙のパレード」です。「沈黙のパレード」の映画も公開間近ですね。
まとめ
「禁断の魔術」は、短編集の一つとして登場した後、長編小説として改稿されて発売されています。
シリーズでも珍しい湯川先生の愛情や科学技術の使われ方が見どころです。
SPドラマ版では内海薫が初登場キャラ・牧村に変わると予想できます。
実写版も楽しみな「禁断の魔術」ですが、原作も重く深く、読み応えたっぷりです。予習として読んでみてはいかがでしょうか。