「匂いかぐって気持ち悪いじゃん」
実は、そんな先入観で、読むのを避けていた人気漫画『あせとせっけん』。読んでみるとかなり面白い作品だということがわかりました。
ここでは、読んでみると、とんでもなく面白かった漫画『あせとせっけん』を紹介します。
作品の基本的な情報と、私が感じた面白ポイントをまとめています。
ぜひ最後まで読んでみてください。
漫画『あせとせっけん』とは?
- 作品名:あせとせっけん
- 作者:山田金鉄
- ジャンル:青年漫画、恋愛、ラブコメ
- 掲載誌:「週刊Dモーニング」→「モーニング」
- コミックス発売巻数:全11巻(完結済み)
- 出版社:講談社
漫画『あせとせっけん』は、2018年に「モーニング」の電子版である「週刊Dモーニング」で読み切り作品で掲載され、人気だったことから連載作となりました。2019年から「モーニング」に移り、2021年で連載は終了されています。
2019年「みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞 第2位」、「第2回 電子書籍で読みたいマンガ大賞 大賞」などたくさんの高評価を受けた作品です。
2022年1月には、テレビドラマとして実写化され、こちらも話題になりました。
スピンオフ作品として、最終回後の2人の妊活を描いた18禁同人誌『こどもつくる本』も発売されています。
こどもつくる本/東横大賞典 山田金鉄 FANZA DMM fc2 Dlsite まんが王国
登場人物
八重島 麻子(やえしま あさこ)
物語の主人公。26歳のOL。化粧品&バス用品メーカーである「株式会社リリアドロップ」に努めている。経理部所属。
かなりの汗っかきで、小さな頃は、それが原因で、嫌な思いをした経験がある。
大人になった今は、昼休みなど、毎日トイレで汗のケアに気を付けている。
名取 香太郎(なとり こうたろう)
麻子と同じく「リリアドロップ」に努める29歳。商品開発部所属。
売れ筋商品を開発する、仕事ができる男で、他の社員にも慕われている。
匂いにはかなり敏感。特に麻子の匂いは大好き。
あらすじ
八重島麻子は小さな頃から極度の汗っかき。大人になってもその体質は変わらず、会社に着くと朝から汗ケアが欠かせない毎日。
そんな麻子は自社製品であるリリアドロップのせっけんが大好き。ある朝、会社で夏の新商品であるせっけんを眺めながら幸せを感じていた。
すると突然、後ろから知らない男に首筋の匂いを嗅がれてしまう。自分の汗の匂いで相手も不快にさせてしまったと思い、泣いて謝る麻子だったが、男はそうではないと言う。
男の名前は名取香太郎。商品開発部のプランナーだった。そして麻子の匂いを嗅いだ理由は、それがいい匂いだったので匂いの元を知りたかったからだと言った。
そして麻子の匂いはインスピレーションがわくから、新作のアイデアを出すためにこれから毎日匂いを嗅がせてほしいと要求してきた。
漫画『あせとせっけん』の面白ポイントは名取の変態っぷり
注※ハンカチの話です
あせとせっけんは
健全なラブコメマンガです( ・ε・) pic.twitter.com/tMLJRPZJlU— 山崎から君へ (@nohanashi4) November 21, 2021
漫画『あせとせっけん』は、匂いがテーマとなっており、その匂いに敏感な名取が「匂いを嗅ぐ」という行為を繰り返します。その匂いを嗅ぐという行為が、この作品の面白ポイントになっています。
第一話で、いきなり後ろから匂いを嗅ぐという行為が登場するとき、おそらく女性読者の中には「キモッ!」と思う方もたくさんいると思います。私もそうでした。
しかし読み進めていくとその名取のキモい行為はいいイメージに変わっていくのです。
キモい→使命感に変化
名取のキモい行為は、まず一段階目として、仕事に対する使命感なんだなというイメージに変わっていきます。
名取が行う麻子の匂いを嗅ぐという行為は女性的には間違いなく恐ろしい行為。気持ち悪いからやめなさいと言いたくなります。
しか、読んでいくと、麻子の匂いを嗅ぐことが、名取の「せっけん開発」という仕事のために必要なことだということがわかってきます。
名取は麻子をクンクンしながら「あーでもない、こーでもない」と一生懸命匂いを分析します。名取にとって麻子の匂いを嗅ぐという行為は、ただの変態的なものではなく、仕事に欠かせない立派な特殊能力なんです。例えれば麻薬探知犬の嗅覚のようなものでしょうか。
仕事に対する意欲だと考えると、変態行為が使命ある素晴らしい行為に思えてくるから不思議ですよ。
名取は変態ですが、石鹸開発の凄腕プランナーなんです。変態ですが。
使命感→カワイイに変化
仕事への使命感を感じた後、キモい行為は、いつのまにかカワイイと思える行為に変わってきます。
麻子の匂いを嗅ぐ行為は話数が進むにつれ異常さが増してきます。特に付き合ってからは遠慮もなくなるのでひどいものです。
残り香で麻子の居場所がわかる名取。
麻子に自分のTシャツを着せてしばらく洗わないでおこうとたくらむ名取。
しばらく会えない出張に備えて麻子に無洗濯のハンカチをねだる名取。
とにかく変態っぷりが半端ない。ちなみに出張中、麻子のハンカチはクンクンされながら、使わない時はジップロックに入れて丁寧に保管されていました。
しかし、その変態っぷりは全て麻子が大好きだから行ってしまうものなのです。読んでいるとそれがとても伝わってきます。そんな名取は変態ながらも憎めません。
製品開発のための「使命感あふれる行為」は「カワイイ行為」に変化します。麻子が好きすぎてカワイイ名取の変態行為に最終的にはかなりキュンキュンさせられますよ。
麻子の匂いを嗅いだ後、満面の笑みで「麻子さんだー」とかいう名取がかわいくてしょうがない。
漫画『あせとせっけん』は男性も女性も楽しめる
猛烈に
あせとせっけんがすきなんですが10巻の表紙が大好きなんですよ
名取さんの笑顔が凄いイイ🥰 pic.twitter.com/RBTlz5TwDv
— カヌレおばさん (@kusohazui_kagi) November 12, 2021
漫画『あせとせっけん』は、一見男性向けのような雰囲気を感じますが、女性もしっかり楽しめる作品です。
漫画『あせとせっけん』の掲載雑誌は、大人男女ともに人気の雑誌「モーニング」。「男が女の匂いを嗅ぐ」という行為から始まる漫画『あせとせっけん』は、どちらかというと、「女性からは避けられるのでは?」と思っていました。しかし、女性である私も、笑いながらもキュンキュンしてしまう好印象の作品です。
イケメン名取の顔は、少女漫画にでてくるような顎尖りすぎ男子というわけではなく、さわやかさがある好印象な青年。そして、ヒロイン・麻子は、胸は大きい設定ですが、男子向け漫画に出てくる女性のような、異常なでかさではありません。
漫画は絵柄が重要だと思いますが、男性から見ても女性から見ても違和感を感じない絵柄というのも男女ともに楽しめる作品のポイントとなっているのでしょう。
もちろん、麻子と名取の恋愛模様も男女ともに楽しめます。
名取の心情や行動は、男性目線的な気がしますし、麻子の心情はとっても女性目線。とくに多汗というコンプレックスのため、地味系で生きてきた麻子が、名取と付き合うことになった時に感じていた自信のなさは、とても共感できました。
そして、一番のポイントは笑える要素です。名取の変態行為が、終始、笑わせてきます。そんな笑い要素が、物語全体に広がっている恋愛濃度みたいなものを、和らげてくれているような気がします。
コテコテの恋愛漫画は苦手だという人も、きっと楽しめる作品ですよ。
恋愛は大人対象のエロキュンさがあります。
まとめ
漫画『あせとせっけん』は、2021年まで雑誌「モーニング」で連載された作品です。
匂いフェチ男子と汗っかき女子の恋愛を描いています。
変態的だと感じる「匂いを嗅ぐ」という行為が、物語の面白ポイントとなっています。
違和感のない絵柄と男性女性の両方から描かれた恋愛模様が表現されているので、男女ともに楽しめる作品です。
とてもかわいらしくて癒されるカップルの恋愛物語です。ぜひ読んでみてください。